雄叫び止むことなかれ

PL人数:3人

推定プレイ時間:4時間

 

●公開情報

リトライ:3

初期グリット:4

チャレンジ:4

クエリー:3

 

●シナリオ背景

 獣で構成されたヴィラン集団「ザ・リバースファング」。ヒトへの下克上を目論む彼らは、獣の国を作るための第一歩として海上都市ハコブネを支配することを企てる。

 獣とヒトの争いに終止符を打てるのはヒーロー、キミたちしかいない!!

 

●エントリー

・エントリー1:キミは愛犬家のヒーローだ。今日も今日とて、愛しい犬と公園で散歩の真っ最中である。そんな折、突如大量の鳥の群れが現れたかと思えば、キミの愛犬をはじめ多くの犬猫を拉致していき、やがてその群れはどこかに飛び去っていく。いくら探して、一向に愛犬は見つからず、時間だけが過ぎていく。

失意の中にあったキミに微かな光が差し込むのは、数週間後のお話だ。

 

・エントリー2:キミは日本からほど近い海上にある都市「ハコブネ」に在する動物園にやってきている。そして、本日の大目玉である動物たちのショーが始まったその時、周囲は騒めきに包まれる。舞台裏から現れたのは、首に大きな首輪を繋げられた人間であったのだ。

騒ぎを収めようとキミが動き出そうとした瞬間、背後から強い衝撃を受けたキミは意識を手放すこととなる。最後に耳にした声は、身も震わせるような獣の雄叫びであった。

 

・エントリー3:キミはG6傘下にある研究施設に派遣されているヒーローだ。研究員が忙しそうに発明品の治験に勤しむ。そんな中、職員の一人が大慌てでキミの名を呼ぶ。どうやら事件のようだ。職員に見せられたライブ映像には海上都市「ハコブネ」が映し出されている。しかし、異様な雰囲気だ。海は海獣が支配し、空は猛禽類が埋め尽くしている。

そして不意に映像が切り替わる。そこに映し出されたのは「ザ・リバースファング」の指導者であるNo.29430、通称つくよみ丸だ。

 

 

●導入フェイズ!

 

〇イベント1

登場PC:① 場所:公園

~状況~

 キミは愛犬と共に近所の公園にまで足を運んでいる。他にも、多くの人々が各々の過ごし方で穏やかな日常を享受している。

 そんな中、キミの耳に大量の羽ばたき音が届く。そちらの方を見てみれば、空を全て埋め尽くしてしまいそうな数の鳥がこちらへ迫ってきているのだ。そしてあっという間に公園にまで迫り、人々がいることなどお構いなしに大群はこの場を通過していく。翼や口ばしで身を切り裂かれた人々が呻く中、キミは自らの愛犬が姿を消していることに気が付くだろう。あの鳥たちにさらわれたことは明白だが、すでに鳥の大群は散り散りになってしまっており、追えども追えども足取りは掴めない。

 時間は無情にも過ぎ、愛犬の居ないまま数週間が経つ。失意の中にあったキミの目にとあるニュース速報が流れ込む。

 

~解説~

 ①と愛犬が離ればなれになる場面だ。鳥たちに愛犬が拉致される前に、1人と1匹のやりとりを挟むと今後の動きも取りやすいかもしれない。

 鳥たちの正体は、リバースファングの下っ端獣たちである。

 

エンドチェック!

□愛犬との日常を過ごした

□愛犬を探す決意をした

 

〇イベント2

登場PC:② 場所:ハコブネに在する動物園

~状況~

 現在キミは海上都市ハコブネという人工の島に建設された動物園に訪れている。理由はデートや遊び、島の視察など自由に設定するといいだろう。

 そして本日のメインイベントである様々な動物たちのショーがまもなく開始されようとしていた。キミも席に着きショーの始まりを待つ。観客の期待のボルテージも最高潮だ。

 スポットライトが壇上を照らし軽快なドラムロールが全ての人々の鼓動を高鳴らす。「さあさあお客様方ァ!!大きな拍手で今宵のメインキャストをお出迎えくださいなァ!!」スタッフと思しき声に、観客は一際大きな拍手を送る。

 そして満を持し勢いよく壇上に上がったそれは、首に鎖を繋げられた1人の成人女性だ。会場の空気が凍り付く。後を追うようにして出てきたのは大きな体躯を持つ2足歩行の虎、「ザ・リバースファング」の幹部である炎々虎だ。

 

「えーー私は今宵のショーを取り仕切らせて頂きます、炎々虎、炎々虎でございます!!」

「おーーーっと!いけません、これはいけません!!お客様の歓声が我らの喜びと言うのに!!このステージに静寂は似合わない!!」

「では早速プログラムに入っていきましょう!!まず一発目は、こちらのヒトが繰り広げる華麗な火の輪くぐりです!!」

 

 炎々虎は設置されていた輪っかを指さしたかと思えば、それがゆらりと炎上を始める。壇上の女性は震えながらも一歩一歩と前進を始める。よく見てみれば、彼女の身体には大量のむち打ちの後があり、時折炎々虎の方を見やったかと思えば顔面を蒼白にし再び火の輪のほうに意識を戻す。観客は突然の事態に動揺しきっており、誰一人女性を助ける気配は見られない。この場をなんとかできるのは、ヒーローであるキミだけだ!!

 

 キミが女性を助け出したその時、後ろから強い衝撃を受ける。どうやら炎々虎のようだ。グルルと唸る彼は、大きな右手に付着したキミの血を舐めとりながら首根っこを掴み引き摺りどこかへと運んでいく。最後に聞こえたのは数多くの観客の悲鳴と雷のような獣の雄叫びであった。

 

~解説~

 ②が海上都市ハコブネへ足を運ぶ場面だ。誰かと一緒にやってきていてもよい。その場合は、後の展開の緊迫感も増すことだろう。

 ちなみに、海上都市ハコブネは様々な人種の人々が住めるようにデザインされた巨大な人工都市だ。海の上に浮かんでおり、本土からの連絡手段は海路と空路。現在はプレオープンだが、もう一月もすれば本格的な住民の受け入れを開始する。未来に溢れた土地だ。

 

エンドチェック!

□海上都市ハコブネへ遊びに来た

□炎々虎の不意打ちを食らった

 

〇イベント3

登場PC:③ 場所:G6傘下の研究所

~状況~

 キミはG6の傘下にある研究所に派遣されているヒーローだ。研究員たちは目まぐるしく働き右往左往。キミもヒーローならではの能力を用い彼らの手伝いに勤しんでいることだろう。実験に使用されるマウスもせわしなくゲージの中を走り回っている。

 そんな時、慌てた様子で1人の職員がキミの方に駆け寄ってくる。どうやらなにかの事件が起こったようで、大きなモニターが設置された会議室にキミは案内される。映し出された映像には、最近話題だった海上都市ハコブネが映っているのだが、その周囲の海は鯱やトドなど大量の海獣が埋め尽くし、空は鷹や梟が縦横無尽に飛び回っている。

 

「今朝からこの様子みたいで……船やヘリはもちろん、電波もどういう訳か届かず……」

「完全にハコブネが孤立してしまっている状況です、何かしらのヴィラン組織が関わっているとは思うのですが……」

 

 そんな中、不意にライブ映像が切り替わる。数秒の砂嵐の後に流れたのは薄暗い部屋に立つ、一匹のウサギの姿だ。キミはこのウサギを知っている。獣解放活動団体「ザ・リバースファング」の指導者であるNo.29430、通称つくよみ丸だ。

 

「やあやあヒト諸君。ぼくはザ・リバースファングの指導者No.29430だ」

「この度は、我々が理想とする獣の国を作る第一歩として、海上都市"ハコブネ"をぼくたちが治める自治区とさせてもらうことにした」

「君達に危害を加えるつもりはない、ただ元からこの区域に生息していたヒトはこちらの好きにさせてもらうよ。なにそれも心配いらない、命を粗末にすることはしないから」

 

 そうして画面には砂嵐が流れ出す。職員は真っ青な顔をしキミを見つめる。キミの携帯が鳴る。G6からだ。どうやら忙しくなりそうだ。

 

~解説~

 ③がG6関係の研究所でお手伝いをしている場面だ。テクノマンサーであれば研究そのものへの助言もありえるだろうし、力自慢のヒーローであれば荷物の運搬を任されているかもしれない。

 

エンドチェック!

□研究所でお手伝いをした

□つくよみ丸の放送を目撃した

 

 

●展開フェイズ!

 

〇イベント4 チャレンジ

登場PC:①③ 場所:G6本部

~状況~

 ツクヨミ丸の映像を見た①と③は、G6の呼び出しによりG6本部屋上に備え付けられたヘリポートにまでやってきている。

 

「よく来てくれた、海上も空中も獣の密度は増すばかり。おそらくこれ以上足踏みしていれば、もはや直に突入は不可能となるだろう」

「やや強引だが、このヘリで鳥たちを蹴散らしながらハコブネ上空を目指し、キミたちヒーローを送り込みたいと思っている。頼んだぞヒーロー!」

 

~解説~

 1回目のチャレンジイベントだ。このチャレンジでは同一PCが2つ以上の判定を行っても構わない。

 

判定1:作戦or科学

パイロットに的確な指示を飛ばす。

判定2:運動

ヘリの限界が近い!墜落する前に、比較的安全な場所に着地する。

 

失敗:突入時に大怪我を負ってしまう。

全員(PC3も含む)2D6+4点のダメージを受けた上で次のイベントに移行する。

 

〇イベント5 クエリー

登場:② 場所:調教部屋

~状況1~

 軋む身体をなんとか起こしたキミが置かれていた状況はなんとも悲惨なものであった。薄暗闇、じめついた空気の中で時折響き渡る悲痛な叫び声。キミが体勢を変えようと身をよじればカシャンと乾いた鉄の音。どうやら成人男性が身を丸めてようやく入れるようなサイズの檻に詰め込まれているようだ。しかし先ほどの檻の感触からしてヒーローであるキミが全力で叩き割れば脱出することは不可能ではなさそうだ。非常事態なのは明らか、じっとしている場合ではないだろう。

 

 獣人のスタッフを蹴散らし(もしくは連行され)キミは開けた場所に出る事となる。すると短いドラムロールの後に眩しいスポットライトがキミを照らし出す。通路からは炎々虎が用途不明の大量の器具を抱えこちらにやってくる。

 

「おうおう、こいつぁまた随分なヤンチャさん!!」

「しっっかしまぁ、お前はウチの大目玉。おいそれと逃げ出してもらっちゃあ困る訳でなァ!!」

「アァ、そもそもで逃げ出そうと考えることが此方の躾不足に他ならねえ!!」

「まずは無駄かもしれねえが命じよう、三回回って寝転んで俺に腹を見せるんだ!!」

 

 炎々虎はそう命じた後、キミの様子を伺う。ほんの僅かでも、嫌悪や敵意を見せた場合、持っていた器具の一つを近くに置かれていた檻に差し込む。そしてスイッチを押し込んだかと思えば青く輝く閃光がその檻の周囲を弾け飛ぶ。どうやら電流のようだ。中から子どもの悲痛な叫びがこだまする。

 さあ、この状況、キミならどうする?

 

~解説1~

 まるで獣とヒトの関係が逆転したかのような場面を演出するシーンだ。ヒーローがどのような振る舞いを見せてくれるのかを問いたい。

 

~状況2~

 キミが炎々虎に反応を返す。そんな中、ズドンズドンと大きな落下音が2つ。どうやらこのテントに何かが落下してきたようだ。炎々虎も怪訝そうに耳を動かし、そちらを見やる。キミのヒーローとしての勘が告げる。転機が来る、と。

 

~解説2~

 ヘリから落下してきた①と③がサーカステントに落下してきた音だ。さぞ勢いよくバウンドしたことだろう。

 

エンドチェック!

□炎々虎に反応を返した

□落下音を聞いた

□グリットを1点得た

 

〇イベント6 チャレンジ

登場:全員 場所:サーカステント

~状況~

 落下した二人が周囲を見やれば、がらんどうとしたステージと客席が目に入る。どうやらサーカステントのようだ。一拍を置いて物陰から現れたのは炎々虎、そして首根っこを掴まれ引きずられている②だ。どうやら炎々虎はこの騒音の元を辿りにきたようで、まだ①と③の存在には気が付いていない。いま奇襲を仕掛ければ②を助け出すことが可能かもしれない!

 

~解説~

 2回目のチャレンジイベントだ。このチャレンジでは同一のPCが両方のチャレンジ判定を試みることはできない。

 

判定1:白兵、射撃、霊能のいずれか。

炎々虎を一時的に無力化する。

判定2:操縦または隠密。(②は+30%の補正を得る。)

炎々虎に見つからぬように囚われた人々を開放する。

 

失敗:失敗した場合、サーカスの檻に人々が閉じ込められたまま撤退することになる。

決戦フェイズでのグリット使用が不可能となる。

 

〇イベント7 クエリー

登場PC:③(①②) 場所:病院

~状況~

 ハコブネの調査を進めるキミたちは、一つの病院の前を通りかかる。すると、その中から「嫌だっ!!嫌だ助けてくれぇ!!!!」といった叫び声が響いてくる。見過ごすことは出来なさそうだ。

 中は薄暗く、驚くほどに人の気配がない。そして、③がとある病室に足を踏み入れた時、不意に足元が抜ける感覚を覚える。それに続いてバキリバキリと木の割れる音。どうやら地下に空洞があったらしく、腐った床板を踏み抜いた③はそのまま下へと落下することとなる。

 落ちた先、そこは例えるならばマッドサイエンティストの根城、施術台の上ではベルトで四肢を固定された男性がぐったりと腹を見せ気絶しており、その白い肌にはペンでメスを入れるための下書きがなされている。部屋の隅にはブルーシートが敷かれた一角があり、そこには生気を失った十数名の人間が物のように積み重ねられている。そして不意にキミの後ろから声がかかる。大きなズタ袋にペストマスク。ザ・リバースファング幹部、鼠の集合体であるミニマル・リスクだ。

 

「どうしたの、こんなところに、1人で、どうしたの」

「研究室、ぼくの、俺の、私の、ここは、研究室」

「きみ、ひーろ?なにしに、きたの?」

「やだやだやだよ、これ、ぼくらの、なんで、研究してる、邪魔しないで」

「ヒトは、ぼくらの、命、簡単に捨てるのに、あなたも、知ってるでしょ、実験で使われたぼくら、文字通り、捨てられる」

「このヒトたち、この後、ちゃんと食べる、無駄に、しない、いいでしょ?いいでしょ?」

 

 そう言いながら、ミニマル・リスクはメスをぶんぶんと振るう。どことなく無邪気さも孕むその問いにキミはどう答えるだろうか?

 キミの答えを受けたミニマル・リスクは、ズタ袋の中から一斉に鼠を飛び散らせ部屋中に空いた穴からどこかへ逃げ去って行く。ここで①と②が穴を見つけ合流する流れにすると良いだろう。

 

~解説~

 ③がミニマル・リスクの研究室に迷い込む場面だ。ヒトがマウスを実験体として扱うことが許されて、なぜ逆になるとそれが許されないのかを彼(?)は問うてくる。

 

エンドチェック!

□ミニマル・リスクの問いに答えた

□グリットを1点得た

 

〇イベント8 チャレンジ

登場PC:全員 場所:ハコブネ島内

~状況~

 キミたちはボスであるつくよみ丸の元を目指し島内を駆け回る。やや疲労も溜まってきたかと思われたその時、道端から小さなフードを被った人影が飛び出してくる。手にはカゴを持っており、中には多くの食料が詰め込まれている。

 

「あっあの!ヒーローさん!こ、これ、しえんぶっしです!!」

「わたしじーしっくすの、しょくいんです!おうえんきましたです!」

「ほんとのほんとにほんとですー!!」

 

 キミたちのヒーローとしての勘が働きかける、あからさまに、怪しい!!

 少しでも疑いをかければフードの子は慌てふためき始め、自ら後ろにずっこけその姿をキミたちに見せることとなる。ふわっふわの毛皮に包まれたその子犬はザ・リバースファングの幹部、ワッフルだ。彼女は「まずいですー!まずいですぅー!」と叫びながらすたこらさっさとどこかへ逃亡していく。ワッフルを追えば、一気にリバースファングの本拠地へと近づけそうだ。

 

~解説~

 3回目のチャレンジイベントだ。このチャレンジでは同一のPCが複数のチャレンジ判定を試みることはできない。

 息抜きがてらのチャレンジ判定だ。失敗時のデメリットが比較的小さいため、先に判定成功時にどのような効果があるのかPLに説明するのもいいだろう。

 

判定:白兵、射撃、霊能、作戦のいずれか×3回…ワッフルが行く先々の獣をなぎ倒す。

 

判定に成功した数だけ決戦フェイズに登場するヘンチマンであるケモノの数が少なくなる。(最大3匹)

 

〇イベント9 クエリー

登場PC:①(②③) 場所:大講堂

~状況~

 ワッフルを追って辿り着いたのは、ハコブネの中央部に位置する大講堂だ。扉を開ければ、むせ返るような獣臭が立ち込める。中には大量の犬と猫、そしてわんわんと泣くワッフルと、悠然と直立しキミたちを見つめる指導者つくよみ丸が居る。

 

「よく来たね、ヒト諸君、待っていた……という訳でもないのだけれど。わざわざこんな所まで足を運んでくれたんだ。歓迎しよう」

「自己紹介は必要ないかな?ナンバーだと呼びづらいだろうから、よければつくよみ丸と呼んでおくれ」

「動物の楽園を作る。それがぼくたちの野望にして最終目標……もちろん、その中にはキミたちヒトも入っているんだよ?」

「ヒトは、少し増え過ぎた。それに利口にもなり過ぎた。行き過ぎた個体数と分布、そして高度な技術は他の動物の命を圧迫する結果を招いている」

「それだったら、ぼくらがすべてを管理したほうがいい。多くのヒトが家族と称し飼っている動物たちも、あんなせせこましい空間に詰められて幸せなはずがないよ」

「ふむ…?そういえばキミが飼っていた子がここに居たなぁ。あ、いたいた。ちょっとごめんね、よいしょっと」

「①、キミに問おう。キミはこの子を幸せに出来ていると断言できるのかい?それはヒトのエゴなんじゃないのかい?この子の悲痛な叫びを、キミは歓喜の声と勘違いしていないとどうして言い切れる?」

 

 キミの愛犬を抱え問いかけるつくよみ丸。愛犬は、いつもと変わらぬ瞳でキミのほうを見やり、じっと見つめてくる。さぁ、キミならばどう返すだろう?

 

~解説~

 講堂に集められた犬猫たちは全員無事だ。ここでは、ペットという存在に対して①がどのような価値観を持ち日々を過ごしているのかを問いかけたい。

 

エンドチェック!

□ワッフルを追いかけ講堂に辿り着いた

□つくよみ丸の問いに答えた

□グリットを1点得た

 

〇イベント10 チャレンジ

登場PC:全員 場所:ハコブネ全域

~状況~

 つくよみ丸はキミたちの説得が不可能だと悟れば、一時撤退するため講堂に集めていた大量の犬猫をヒーローにけしかける。毛皮の津波に数秒の視界を奪われた後、視界が開けばすでにつくよみ丸とワッフルの姿はない。

 この広いハコブネの中で、果たして再び彼らを見つけることはできるのだろうか……途方に暮れるキミたちに、足元から少し間抜けな声がかけられる。

 

「諦めるのは早いです!ごしゅじん!」

 

キラキラした目でキミたちを見上げる彼は、他ならぬ①の愛犬だ。どうやら、つくよみ丸の力の影響を色濃く受け、ヒトに近い知能を得たようだ。

 

「ここにきてから、なんだか舌がまわるよーになったのです!そういえばごしゅじんの声も、よく聞こえるのですー!」

「ぼくの鼻、よくきくのですー!あのうさぎ、追うのですー!」

「がんばります!目を離さないでください!」

 

~解説~

 愛犬の導きに従いつくよみ丸を追いかけるチャレンジだ。

 4回目のチャレンジイベントとなる。このチャレンジでは同一のPCが両方のチャレンジ判定を試みることはできない。

 

判定1:白兵もしくは心理

襲い来る犬猫を牽制、威嚇し、動きを止める

判定2:知覚(①は+30%の補正を得る。)

愛犬の声を聞き取り、追いかける

 

失敗:ハコブネが獣たちに制圧されてしまう。

決戦フェイズに時間制限が追加される。(3R終了時に強制バッドエンド)

 

 

●決戦フェイズ!

 

〇イベント11

登場PC:全員 場所:ハコブネ北海岸

~状況~

 愛犬は走り続け、やがてハコブネの北端に位置する人口海岸まで辿り着く。そこには、静かに佇むつくよみ丸の姿があった。

 

「ふむ、追いつかれてしまったのは……どうやらキミのせいみたいだね?ぼくらの同胞よ、キミはそのヒーローのなにを信頼しているんだい?理解できないね。価値観か?魂か?それとも……」

「その質問は成り立ちません!だって、ぼくはごしゅじんのすべてを信頼して、こころのそこから愛しているのですから!!」

「それは思考の放棄だ、進化への拒絶だ」

「なんだっていいのです!!ぼくはごしゅじんのお傍に居れることが何よりの幸せなのです!!例えごしゅじんがぼくのことを叩いたり、ご飯をくれなくなったとしても、ぼくはごしゅじんの傍に居るのです!!」

「愚かなケダモノめ……」

「ええ、もちろん!!それで構いません!!なぜならぼくはっ、犬なのですからっっ!!」

 

「……ヒト諸君。よくわかったよ。キミたちの存在は、毒以外の何物にもならないようだ。すまないが、ここで決着を付けさせてもらおう。他ならぬ、ぼくらの王国を作り上げるために!!」

 

 つくよみ丸が、初めて声を荒げる。喉から絞り出したその雄叫びは、徐々に周囲に伝染する。空が、海が、地が、獣の雄叫びに包まれる。彼の傍には、炎々虎とミニマル・リスクが現れる。

 

「おうよ!!脱走した上おいたを働こうたぁ……ちょっとやそっとのお仕置きじゃあすまされねえなぁ!!!?」

「そいつ、ぼくの、わたしのおれの、研究邪魔する、嫌い、食べる、美味しく食べるー!」

 

 自身の周りに控える同胞を見やり、つくよみ丸は一度大きく頷いた。

 

「同胞よ!!声をあげろ!!ヒトから受けた仕打ちを思い出せ!!苦痛を、悲しみを、怒りを力に変えろ!!友の亡骸を超えていけ!!ぼくらは、ザ・リバースファング!!さぁ、かかってくるといいヒーロー!!」

 

 最終決戦の時間だ!!

 

~解説~

 敵の配置は以下の通り。ヴィランデータは本ホームページの「ザ・リバースファング」を参照して欲しい。

エリア4:No.29430

エリア3:炎々虎、ミニマルリスク、ケモノ×3体

エリア1:(ケモノ×3体…チャレンジ3に失敗した回数分)

 

~戦術~

No.29430:エリア4からは動かず、【頼んだ、気高きもの達よ】と【おいで、歯向かう君達よ】でヒーローたちのエナジーを削ることを試みる。味方が不利なエリア配置になっていれば、【行こう、空飛ぶもの達よ】で一気に配置を変えてしまおう。ライフが低めなので、適宜【助けて、小さきもの達よ】を用いライフを温存していこう。

炎々虎:攻撃手段は【かぎ爪】と【強制火の輪くぐり】の2つだ。適宜使い分けて欲しい。ヒーローが何らかの判定を行う前に、【ショウタイム!】で成功率を下げることも可能だ。

ミニマル・リスク:基本は【噛みつき】から【感染症】へのコンボを狙う形になる。完全に五分五分のギャンブルではあるが、1ラウンドに1回【執刀】を試みるのも楽しいだろう。

ケモノ:目についたヒーローに【爪、牙、角】を放ちライフを削るのが手堅いだろう。場合によってはエリア移動も積極的に行う。

 

 

●余韻フェイズ!

 

 つくよみ丸たちを倒せば、ハコブネにもようやく平穏が取り戻されることだろう。捕まっていた人々も、無事に解放される。当初の予定よりも遅れはするだろうが、ゆくゆくは本土からの大規模な移住も開始されることだろう。

 余韻フェイズはヒーローたちの好きに演出してもらいたい。

 

”横暴極まる獣の下克上は、キミたちの活躍により失敗に終わった。

獣の雄叫びに、人々の助けを求める声が飲まれるのはまだ早い。”

 

シナリオ『雄叫び止むことなかれ』これにて終幕!