よるのにじ
PL人数:3人
推定プレイ時間:3時間
登場ヴィラン組織の「ラ・モルテ・フェリーチェ」の詳細はこちらから!
(「ラ・モルテ・フェリーチェ」製作者であるいぬくん様のホームページへとジャンプします)
NPC画像やシナリオ資料はこちらから!
●PLへの公開情報
リトライ:2
初期グリット:3
チャレンジ:2
クエリー:3
_そのにじは ふしぎなにじ
ゆうきをもたらす よるのにじ
たたかうきみのものがたりが どうかしあわせでおわることをねがって
●シナリオ背景
とある町に、一人の少年と一人の少女がいました。その少女は長く病に伏しておりましたが、傍で元気を分け続けてくれる少年のお陰で、その病に立ち向かう勇気を得ることができそうになっておりました。
しかし、そんな折に人々のバッドエンドを願う集団「ラ・モルテ・フェリーチェ」が彼らの町を訪れました。小さな、しかし確かな希望に溢れた物語は彼らにいともたやすく打ち壊されます。少年が少女を励ますために描いた絵本のシナリオに沿うようにして、町をバッドエンドの兆候が包み込んでいくのです。
果たしてヒーローは、「ラ・モルテ・フェリーチェ」が描くバッドエンドのシナリオを阻止し、町に、そして少年少女に希望を取り戻させることはできるのでしょうか。
●エントリー
いちばん:キミはヒーローだ。ここ最近は、小さな町の病院へ通い続ける日々が続いている。
理由は任意だ。患者向けのイベントに呼ばれた可能性や、はたまた身内が入院している、それとも自身がちょっとした怪我を負ってしまっているなど、ヒーローによって様々だろう。
そんな中で、キミはそこで入院している少女と知り合う。名前は「イーリス」。交流を深める内に、彼女は自身のこと、そして自身を支えてくれている少年の存在を教えてくれる。
にばん:キミはヒーローだ。ここ最近は、小さな町にて数日の滞在を続けている。
というのも、どうやらこの近辺で行方不明となる子どもが多発しているらしく、町及びG6から正式にパトロールを依頼された次第である。
そんな中で、キミは毎日のように広場の隅に腰掛け何かを描く少年と知り合う。名前は「トワル」。交流を深める内に、彼はどうしても元気づけたいという幼馴染の存在を教えてくれる。
さんばん:キミはヒーローだ。ここ最近は、ヴィラン組織「ラ・モルテ・フェリーチェ」の足取りを追うために、数多くの街を奔走している。
そんな中で、ようやく彼らが現在の拠点としていると噂の港町に辿り着くことができた。さて調査を行うかと一歩を踏み出した時、町は絵に描いたような暗雲に包まれる。次の瞬間には、まるで黒絵具を水に溶かしたような黒色の雨が降る。真黒に染まった町からは、民衆の悲鳴が木霊した。悠長に構えている時間は無さそうだ。
●NPC
トワル:10歳前後の少年。絵を描くのが好き。
友人であるイーリスを元気づけるために作った絵本が今回の騒動の始まりとなる。
イーリス:10歳前後の少女。生まれつき身体が弱く、病院での生活を続けている。
トワルとは幼い頃からの仲。
●導入フェイズ
イベント1【黄色と少女】
場所:町病院 登場PC:①
-状況-
キミは現在、小さな町の病院へ訪れている。理由はヒーローによりけりだが、通い続けて数日となったキミは顔見知りの患者さんにも歓迎され、和やかなムードが漂うようになっている。
そこで「あ、①さん!」と親しく声をかけてくる少女が現れる。彼女の名前は「イーリス」。ここに入院する女の子だ。キミが病院へやってきた初日にはおずおずと話しかけてきていたイーリスだが、そんな引っ込み思案な様子は今では感じられない。
「えへへ、①さんが居るって聞いて病室を飛び出してきちゃった!」
「今頃看護師さん怒ってるかも……。後でごめんなさいしないと」
「ねぇ!もしよかったら、また色んなお話聞かせて!私、①さんのお話が大好きなの!」
キミが話をするのであれば、イーリスは大層嬉しそうにその話に聞き入るだろう。もしも渋ったとしても、彼女はキミと過ごす静かな時間を堪能する。
そして珍しくイーリスの方から、彼女の打ち明け話をしてくれる。
「私、心臓の病気で入院しているの。生まれた時から、人よりも心臓が弱いらしくて」
「どんどん動かなくなってきてて、そろそろ大きな手術をしないといけないって、お医者さんがお母さんやお父さんに言ってるのを聞いたわ」
「成功する確率は半分半分なんだって。でも、私、頑張りたいなって思うの!」
「えへへ、あのね、毎日励ましに来てくれる友達が居るの。彼が居るとなんだか怖いものなんて無いように感じちゃう!その子の名前はね……」
-解説-
PC①とイーリスの関係を描きたいシーンだ。
状況で言われている通り、ヒーローがここに通っている理由はまちまちだろう。数日前から通っているということさえ満たせれば、その理由は自由に設定してもらいたい。
イーリスの最後のセリフは友達の名前を伝える直前で切り上げ、その流れのままイベント2へと向かうとスムーズに展開できるかもしれない。
エンドチェック!
□なぜ病院に通っているのかを考えた。
□イーリスと会話し、彼女の打ち明け話を聞いた。
イベント2【橙色と少年】
場所:町の広場 登場PC:②
-状況-
「このトワルに任せてよ!!」
キミの隣に座る小さな男の子は、絵筆とスケッチブック握り締め、そう宣言する。
②、キミはヒーローだ。今回は、町直々の依頼の元で数日前からパトロールを行なっている。どうやら子どもの行方不明事件が多発しているらしく、町全体もどことなく緊張しているといった様子だ。
しかし、この数日はそんな影も無く、穏やかな毎日を過ごしている。そこで知り合ったのがこの「トワル」という少年だ。彼は毎日、広場の隅で絵を描いていた。試しに声をかけてみれば、彼の方からヒーローであるというキミに大層食いつき、今では毎日話を交わす間柄になっている。彼は超人種のようで、描いたものを具現化するという面白い能力を持っている。まだ力は弱く小さなモチーフを数分間具現化するのが限界のようだが、その能力にはまだまだ伸びしろがあることも分かるだろう。
「ねぇ、②さんったら、聞いてる!?」
「ぼーっとしてたでしょ?眠いのー!?えっとね、はい!コーヒーどうぞ!」
「それでね、えっと、そう!僕には大事な友達がいるんだ!でも、その子は病気がちで……」
「なんとかして元気をあげられないかなって思ったんだけど、僕が得意なのってこれぐらいしかなくて……えへへ。この絵本、完成したらプレゼントしてあげるんだ!!特別に、ヒーローさんにも見せてあげる!!はい!!」
「ど、どうかな……?えへ、そうなんだ!この本をその子にあげようかなって。」
「凄く可愛い子なんだよ!!その子の名前は……」
そう嬉しそうにキミに絵本を見せながら語っていたトワルは、その日の晩、姿を消した。
やけに広場の方が騒がしく、そして美しい音色に包まれていた夜だったという。
-解説-
PC②とトワルの関係を描きたいシーンだ。トワルとの会話の中で、PC②の人柄に触れていきたい。本シナリオの資料にある「よるのにじの絵本」は、このタイミングでPLに提示しよう。
そして、案の定と言うべきか、トワルは「ラ・モルテ・フェリーチェ」に攫われた。そんなことがあった晩が過ぎれば、いよいよ事態は急転する。
エンドチェック!
□広場でトワルの話を聞いた。
□「よるのにじ」という絵本を読んだ。
イベント3【緑色と暗雲】
場所:町病院 登場PC:③(+①+②)
-状況-
ヒーローである③。キミは現在、とあるヴィラン組織の行方を追っている。「ラ・モルテ・フェリーチェ」。人々のバッドエンドを願い、それをもたらすことを良しとする集団だ。足取りを追おうにも、あと一歩のところで姿をくらまし続けていた彼らであったが、今回はキミの懸命の調査により、彼らが現在滞在しているとみて間違いないという港町まで辿り着く。
情報を聞きつけたのが深夜。それから休憩も無しに駆け付けたため、時刻はちょうど太陽が顔を見せ始めた頃合いだ。港町に似合う大きな灯台を構えたその町は、朝焼けの光を受けながら静かに朝を迎えようとしている。キミは、今回こそはとの思いを胸に、町へと足を踏み入れた。
その時だ。急な悪寒を感じたかと思えば、町は絵に描いたような暗雲に包まれる。太陽は瞬く間に姿を隠し、やがてぽつぽつと雨が降り始める。黒絵具を水に溶かしたような黒色の雨。真黒に染まった町からは、耳を裂くような悲鳴が木霊した。悠長に構えている時間は無さそうだ。
-解説-
ここから事態は急転していく。町に足を踏み入れる前に、GMはPC③が「ラ・モルテ・フェリーチェ」とどのような因縁があるかを決めてもいいだろう。
いよいよ「ラ・モルテ・フェリーチェ」が動き出す。彼らがトワルの力を目覚めさせ、町に怪物を放ったのだ。次のイベントから展開フェイズに突入する。
エンドチェック!
□灯台を称えた町に辿り着いた
□黒い雨に見舞われた
□町の異常を察知した
●展開フェイズ
イベント4【赤色と怪物】
☆チャレンジイベント
場所:町の広場 登場PC:全員
-状況1-
①、キミはいつものようにイーリスと共に病院のロビーで静かな時間を過ごしていた。そんな時、大きな音を立ててロビーの入り口が粉砕される。そこから現れたのは、真っ赤なクレヨンでぐちゃぐちゃと描き殴られたかのようないでたちをした異形の怪物だ。怪物は逃げ惑う人々に容赦なく襲い掛かる。気が付けばイーリスも怪物の一匹に捕まり、そのままどこかへ連れさられていく。このままイーリスの身が危険だ。キミは怪物の行方を追うため、暗雲が立ち込める町へと飛び出していく。少し、雨も降りだしたようだ。
②、キミは今日も町のパトロールだ。まだどこか肌寒い朝の空気を身に浴びながら、通いなれた広場へと足が進む。そんな時、目の前を真っ赤な怪物が横切った。路地裏から飛び出した怪物は、背に小さな子供を二人乗せているようだ。真っ赤な怪物の腕は、真っ赤な液体で染まっている。それを見やる子供たちは大層ご機嫌だ。足取りを追えば、よくトワルと出会うあの広場へとたどり着く。
③、キミは町の中央部にある小さな広場までやってくる。軽く周囲を見渡しただけでも、数え切れないほどの惨状が目に映りこむ事だろう。素朴ながらも丁寧な飾りが施された広場の噴水は砕き割られ、町を歩いていた人々は怪物から逃げ惑っている。阿鼻叫喚としか形容できない光景の中、2人のヒーローが広場にやってくるのが分かるだろう。①と②だ。ここで互いの自己紹介や、現状の報告を済ませておくといいだろう。
-解説1-
チャレンジ前にPC達が合流するための場面だ。ここからノンストップの展開となっていくため、ゆっくりと時間を取り互いの自己紹介を行うのもいいだろう。合流し次第、次の状況へと移る。
-状況2-
広場では多数の怪物が暴れまわっている。その中央で楽し気に指示を飛ばしているのは、「ラ・モルテ・フェリーチェ」の幹部であるヘンゼルとグレーテルだ。
「わぁ、もしかしてヒーローさんたち?邪魔しないでね!いま、すっごく楽しいところなんだから!」
「そうそう!あ、ヘンゼル!あれも壊しちゃおうよー!」
「いいねグレーテル!え?この怪物は何かって?うーん、教えてあげたいけど、言ったらきっとカヴァレッタに怒られちゃうからな~。内緒!お口にチャック!」
「流石ヘンゼル!そうだよね、もしもこの怪物の正体が拉致誘拐した子供たちだってバレたら、変身が解けちゃうかもしれないものね!」
「よく分かってるー!(指パッチン)」
なるほど、この怪物が子供たちであることは分かったが、変身が解けるというのはどういう事だろう?そこに突破口があるのであれば、元子どもたちという怪物たちに乱暴をすることなく現状を打破することができるかもしれない。
〈チャレンジの説明〉
このチャレンジでは、判定は使用しない。
怪物となった子供たちは、誰かに構ってほしくて仕方がないようだ。
よく耳を済ませば、怪物たちはこちらに何かの問いかけを行っているような……?
このチャレンジでは、3つの問いに答えることが求められる。
問いに対してはPL間で相談をしても構わない。
もちろん、各問をGMが自由に考えた謎々に変更するのも楽しいだろう。
※想定している問いは、やろうと思えば答えを覗くことが容易なものとなっている。
事前にPLに対し、このチャレンジ中はルールブックを見ることを控えてもらうように指示するといいだろう。
※グリットを1つ使用した場合、各問いに3つの選択肢が発生する。
-解説2-
謎々のような形式のチャレンジイベントだ。
間違えても大きなデメリットが発生することは無いので、PLには気楽な気持ちで挑んでもらいたい。
【問題】
問①…基本ルールブック(通称R1)の184pから紹介されているヴィラン組織一覧で、4番目に紹介されている組織はどこだっけ?
問②…肉体のデスチャート、「気絶」ポイントを得るのは何番だろう?
問③…オリジンの「サイオン」。英語で表記すると……?
【グリットヒント】
問① [1,メイヘム 2,地獄兵団 3,百鬼夜會]
問② [1,12番 2,14番 3,16番]
問③ [1,SAION 2,SCION 3,SEAON]
【答え】
問① 百鬼夜會
問② 14番
問③ SCION
成功:チャレンジに成功した回数分、決戦フェイズで出てくる「ヘンチマン:怪物」の数が減少する。(最大3体減少)
イベント5【藍色と嵐】
☆クエリーイベント
場所:広場 登場PC:③
-状況-
怪物たちが投げかけた問いに答えると、彼らの身体が徐々に小さくなりやがては元の子供たちへの姿へと戻っていく。それを見たヘンゼルとグレーテルは大慌てだ。
「わ!わ!どうしよう!?僕たちのオモチャがー!!」
「それより、みんなに怒られちゃう!!逃げろ逃げろーー!!」
そう言い残し、残った1匹の怪物に乗りながら住宅街の方へ一目散。なんとその怪物はイーリスを捕まえていた怪物のようで、依然彼女を捕まえたまま姿を眩ましてしまう。
キミたちがヘンゼルとグレーテルを追うために走り出そうとしたとき、周囲の雨音が一層激しくなる。黒い雨粒は石畳をリズミカルに叩く。自身の身体すら吹き飛ばされるのではないかという勢いにまでなった瞬間、唐突に雨が小降りになる。視界が晴れたとき、③以外の仲間の姿は消えていた。
「あぁ、すまない。キミとは一対一で静かに話をしたかったのでね」
そう言いながら姿を現したのは「ラ・モルテ・フェリーチェ」の指揮者を務める男、カヴァレッタだ。
「ああ、こうしてちゃんと話すのは初めてかな?では、初めまして。僕はラ・モルテ・フェリーチェの総指揮者。カヴァレッタさ。」
「早速で悪いけれど、良ければここで踵を返してさ、キミが元々居た町へ帰ってもらうことはできないかな?」
「……出来ないって?じゃあ教えてあげよう。今回の物語は、とある病気がちの少女と、そんな少女を支えてきた少年が織りなすバッドエンドのストーリーさ。」
「キミは別に、彼らに縁がある訳でもないだろう?喋ったことすらない、言ってしまえば、キミの物語の中では少年少女、ひいてはこの町さえ脇役……いや、モブに過ぎない。」
「キミの人生にとっては端役。そんな彼らを助ける義理なんてないだろう?このまま帰れば、キミは怪我もすることなく、安全にキミのお話へ帰ることができる。」
そう提言してくるカヴァレッタ。それに対するキミの反応はどんなものだろうか?
キミの答えを聞いたカヴァレッタはため息をひとつ。
「仕方ない。では、キミもこのバッドエンドを彩る一員になってもらおうか。」
「僕は一足先に特等席へ行っているよ。では、また。」
そう言い残し、軽く指揮棒を振るった彼は、見る間に黒い雨に包まれ姿を消した。
-解説-
ヒーローの前にラ・モルテ・フェリーチェのボス、カヴァレッタが姿を現す場面だ。カヴァレッタも本気でヒーローが踵を返してくれるとは思っていないだろう。ここは③のヒーローとしての信念や意識を問いたいところだ。
エンドチェック!
□ヒーローたちが散り散りになった
□カヴァレッタの問いかけに答えた
□グリットを1点得た
イベント6【青色と夢】
☆クエリーイベント
場所:路地裏 登場PC:①
-状況-
黒い雨に包まれたキミは、気が付けば町の路地裏にまで吹き飛ばされていた。周囲は不気味なまでに静まり返っており、気配一つ感じない。と、思った矢先に、ふと頭上に大きな影がかかる。見上げてみれば、あの真っ赤な怪物だ。怪物はキミがいた地面を大きくえぐり着地する。背にはヘンゼルとグレーテル、そしてイーリスの姿がある。
「惜しい!あと数センチだ!」
「ねー!悪いヒーローを倒せたのにー!」
そう笑う彼らはキミを見下げる。
「ね、ね。どうしてそんなに必死にこの子を追うの?どうせ長くない命だよ?おしまいおしまい、だよ?」
「手術……?でも、絶対に治るんじゃないんでしょ?散々頑張って苦しい目にあって、それで結局死んじゃうなんて最悪でしょー?」
「それにね!ね!もし手術に成功したとしても、普通に生きて、普通に死んでって、そんな人生って、普通で平凡でつまらなくなーい!?」
「これから始まるのはすっごく楽しいバッドエンド!!分かったら邪魔しないでよ!!」
彼らはまくし立てるようにそう語る。キミの答えはどのようなものだろうか。
キミが返答をすれば、彼らは不機嫌そうな態度を隠そうともせずに口を開く。
「ふん、あっそ。なんだかムカついてきちゃった。」
「ねーグレーテル。こいつもう殺しちゃおうよ」
「そうだねヘンゼル。目の前でぐちゃぐちゃにしてやろう」
そう言い、怪物に命令を下した瞬間だ。涙ぐんでいたイーリスは精一杯口を開き、渾身の力で怪物にかみついた。一瞬僅かに怯んだ怪物の手からイーリスが解放される。
「ま、負けてたまるか!!わ、私の人生は不幸なんかじゃない!!絶対に認めない!!絶対に負けない!!」
人質が居なくなったことを瞬時に理解した彼らは、まずいといった様子で顔を見合わせ、すたこらと怪物の背に乗り逃げていく。残されたイーリスは、キミのお陰で勇気を振り絞れたと深い感謝を述べるだろう。
-解説-
兄妹たちとヒーローのやり取りを描きたいシーンだ。賑やかな問答を楽しもう。
解放されたイーリスはキミと行動を共にする。断ってもこっそりと後をついてくることだろう。
エンドチェック!
□兄妹の言葉に反応を返した
□イーリスを救出した
□グリットを1点得た
イベント7【紫色と色絵筆】
☆クエリーイベント
場所:港 登場PC:②
-状況-
気が付けば、キミは港がある方角まで吹き飛ばされていた。黒い雨の影響か、海はほぼ漆黒に染まり、見つめていると吸い込まれてしまいそうな気持ちにさえなってくる。町のシンボルとも言える大きな灯台も、今は黒く塗られ曇天の空に溶け込みそうだ。その海辺で、一人しゃがみこみ一心不乱に手元を動かすトワルの姿があった。
「ぐすっ、ぐすっ……。ごめんなさい。ごめんなさい。でも、でも、僕は……」
そう泣き喚くトワルは、これまで一生懸命作り上げてきた絵本「よるのにじ」を真黒なクレヨンで塗りつぶしていた。見た所、残るは最後の1ページだろうか?かければ、彼はばっと顔を上げながら涙と雨でぐしゃぐしゃの顔をこちらに向ける。
「だって!!だってぇ!!このまま、ただ無意味にイーリスが死んじゃうなんて、耐えられない!!」
「そう教えてもらったんだ!!こうするしかないって!!こうでもしないと、しないと……!!」
「こんなバッドエンドの形でも、イーリスの死に、価値が生まれるっていうなら……僕は!!」
その目には恐怖と動揺が浮かんでおり、錯乱していることは明らかだ。キミならば、この葛藤する少年トワルにどのような声をかけるのだろうか?
-解説-
「ラ・モルテ・フェリーチェ」の面々は、このままではイーリスは報われないと懇切丁寧にトワルに説いた。それを真に受けた彼は、本来彼が持つ力を増幅させた上で絵本を真黒に塗りつぶし始めた。この町をモチーフにした絵本が彼の力で完全に塗りつぶされた時、何が起こるか分からない。揺れ動くトワルを前にした②の反応が見たい場面だ。
エンドチェック!
□港に辿り着いた
□混乱するトワルに言葉をかけた
□グリットを1点得た
イベント8【黒色と雨】
☆チャレンジイベント
場所:港 登場PC:全員
-状況-
黒い雨は止むことなく、町全体に降りしきる。浴びるだけで精神を摩耗させていく黒い雨がこのまま広がり続ければ、いったいどのような被害が出るのか想像もつかない。消えた子供たちも、この雨を浴び続けた影響であのような異形と化していた可能性が考えられる。
やがてヒーローたちは導かれるようにして、この町の港へと集結する。「ラ・モルテ・フェリーチェ」の面々も、船着き場の陰から現れる。カヴァレッタ、ヘンゼルとグレーテル、そしてピエタがキミたちヒーローの前にやってくることだろう。
ピエタと兄妹が口を開く。
「ようやくここまで来たんですもの。バッドエンドまで残すは1ページ……邪魔はさせないわ。」
「「そーだそーだ!!あの本さえ真黒に完成なっちゃえば、こっちの勝ちだものねー!!」」
確かにその通りだ。この一件を収束させるためにも、まずはドス黒い波動を放ち続ける絵本を回収するのが先決だろう。トワルは未だ懸命に手を黒く汚しながら絵本に書き込みを続けている。
-解説-
2回目のチャレンジイベントだ。こちらは通常の方式で判定を行う。
このイベントでは、同一のPCが複数のチャレンジ判定を試みることはできない。
判定①:心理+20%または交渉
苦しむトワルに声掛けを行い、動きを止める。
判定②:操縦
トワルから絵本を奪ったピエタを探すため、灯台を起動する。
判定③:白兵または射撃または霊能
見つけたならば、あとは海に一撃叩き込め!ド派手に決めろー!!
失敗:判定に失敗した場合、黒い雨は延々と降り続けることとなる。決戦フェイズでラウンドが終了するごとに、PC全員のサニティが3点減少する。
さらに、町にも黒煙が広がっていく。第3ラウンドの終了時に、強制的にバッドエンドとなる。
成功:その時、ピエタを探す為に起動させた灯台が放つ強烈な光に向かって、海を叩き付けた際に吹き上がった水飛沫が盛大に舞い上がった。
光と水が特定の条件の下で起こす小さな奇跡を、キミたちは知っている。
真黒な空に、漆黒の夜を称えた空に、奇跡の橋が架かる。
トワルとイーリスは、同時に顔を上げ口を開いた。
「「虹だ……。夜の虹だ!!」」
手放された絵本は、キミたちの足元へと落ちてくる。ばさりと開かれた最後のページには、この町にかかる七色の虹が描かれていた。
-解説-
さあ、残すは決戦フェイズだ!!
●決戦フェイズ
イベント9【虹とヒーロー】
-状況-
絵本を取り戻したキミたちを見たカヴァレッタは口を開く。
「ああ、これはいけない。ハッピーエンドの兆し……という物だろうか」
「人の幸せを喜べるヤツだなんて、ほんの一握りさ。それこそ、今が幸せなヤツらぐらいじゃあないのかい。」
「こんなありふれたお涙頂戴の脚本なんて、なんて安っぽいことだろう。」
「こうなったら、仕方がないね。ラ・モルテ・フェリーチェの総指揮者であるこの僕カヴァレッタが、キミたちを至上のバッドエンドまで導いてみせよう!!」
さあ、いざ決戦の時だ!!
-解説-
敵の配置は以下の通り。ヴィランデータはいぬくん様のホームページであるこちらを参照してほしい。
エリア4:カヴァレッタ
エリア3:ピエタ・ヘンゼルとグレ―テル・楽団員×3体
エリア2:(怪物×3体…チャレンジ判定に成功している数だけ減少する)
ヒーロー側はエリア1とエリア2のどちらか好きな方に配置すること。
-戦術-
カヴァレッタ:【アニマート】で味方のターンカウンタを早めつつ、【スピランテ】と【レクイエム】でバランスよく相手のエナジーを削っていこう。隙を見て【バーレスコ】を試みるのも戦況をかき乱せるだろう。
ピエタ:【魔女と飲み薬】で自身を強化したのち、【あの人と短剣】で着実にヒーローのライフを削っていこう。【海と泡】の発動タイミングも忘れずに。
ヘンゼルとグレ―テル:【きらきらこいし】の効果を得るために適宜自身の居るエリアを【まっくらもりのなか】で暗闇エリアにしつつ、【おおきなかまど】で大きなダメージを狙おう。ターンに余裕があれば【おかしのおうち】を使えばエナジーも安定するだろう。
楽団員:ひたすらヒーローのいるエリアに向かって【即興演奏】を行う。
(怪物):データはヘンチマンの「ヴィランメンバー(p218)」を使用する。近い相手に【アサルトライフル】を放てば問題はないだろう。
●余韻フェイズ
キミたちの活躍によりラ・モルテ・フェリーチェは捕縛されることとなるだろう!
余韻はヒーローたちの行いにより、好きに演出してもらいたい。NPCから、ヒーローたちへ感謝の言葉を贈るのもいいだろう。
全員やり残したことが無いようであれば、最後にシナリオを締めくくろう。
”小さな病室で、小さな絵本を膝に乗せる少女がいました。彼女は、最後の1ページを開きながら、嬉しそうに眼を細めます。”
_そのにじは ふしぎなにじ
ゆうきをもたらす よるのにじ
たたかうきみのものがたりが どうかしあわせでおわることをねがって
シナリオ『よるのにじ』これにて終幕!
-まるき-
始まりはクトゥルフ神話TRPG。
現在は魔導書大戦RPGマギカロギア、デッドラインヒーローズなど徐々に裾野を広げ中。
Twitter:@mrk_iroiro
※
「クトゥルフ神話TRPG」はケイオシアム社の著作物の二次創作です。
「魔導書大戦RPGマギカロギア」は冒険企画局の二次創作です。
「デッドラインヒーローズRPG」は「ロンメルゲームズ」及び「株式会社KADOKAWA」の著作物の二次創作です。
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から