ばいばいこっくりさん

参加人数:2人

推定時間:3時間

※いじめ表現のある部分がございます。苦手な方はプレイをお控えください。

 

NPCの立ち絵DLはこちらから!

 

~公開情報~

リトライ:2

初期グリット:4

チャレンジ:2

クエリー:2

 

~あらまし~

 季節は秋、舞台は京都。暗躍するのは一匹の物の怪。

 百奇夜會の幹部である憑キ蜘蛛は自らの力が日に日に衰えていく現状に痺れを切らした。そして今回の騒動の発端となる1つの計画を企てる。

 京の街で誤ったこっくりさんの方法を流し、それを実行して霊に憑りつかれたキツネツキを喰らい妖狐の力を我が物にせんとしているのだ。

 そしてなんの偶然か憑キ蜘蛛に目を付けられた友人をきっかけとして、伏見稲荷に在するお稲荷様の使いが現世に顕現する。

 ヒーローであるキミたちは、悩める女子高生と奔放なオキツネ様をきっかけとし、京都の命運を決める壮絶な争いに巻き込まれていく!!

 秋の京都を彩るべきは紅葉か鮮血か、全てはキミたちにかかっている!!

 

~えんとりぃ~

その1:キミは学校に通いながらヒーロー活動にも勤しんでいるヒーローだ。学業と人助けの両立で多忙な学生生活を支えてくれているのは入学してから徐々に打ち解け合った”皆川青緒(みながわ・あお)”という女子生徒だ。

 とある秋、キミは校外学習で京都に来ている。そんな中、青緒が数人の女子生徒からいじめを受けている場面を目撃する。

 

その2:キミはG6からの連絡を受け京都の街を駆け回っているヒーローだ。というのも何やら最近の京都では行方不明者の増加、妖怪の活発化、人体発火などの怪現象が続いており、その原因究明解決がキミに一任されたという訳だ。

 しかしどれもこれも発生は夜とのことで、真昼間の現在では特にすることもなく手持無沙汰。観光がてらと京の街を歩いていると、自販機の前で延々と1万円札を投入しては吐き出され投入しては吐き出されを繰り返す少年が居た。

「このっ!何故だっ!何故嫌がるっ!はよぅしゅわしゅわと弾ける黒い液体を飲ませてくれ!」

……さて、どうしたものか?

 

 

~導入ふぇいず~

 

●いべんと1[紅葉とざわつき]

登場PC:① 場所:京都(伏見稲荷周辺)

-状況1-

 キミは校外学習の一環で京都の土地に立っている。秋に染まった京都は右も左も鮮やかな赤色だ。歩くたびに景色を二転三転させるそれらはいつまでも目を飽きさせることが無い。

 現在は土産物を買う時間となっており、キミの友人である”皆川青緒”とは別行動をしている。そんな中、ヒーローであるキミの耳に風で運ばれてきた悲痛な声が届く。この声は青緒のもので間違いなさそうだ。

 

 声がした方向は伏見稲荷がある方向の茂みのようだ。駆け付けたキミは草木の奥で数人の女子生徒に囲まれる青緒を発見する。なにやら嫌な雰囲気がする……。

 

「前々から言ってたよねぇ!?青緒、アンタは京都来るなって!!」

青緒が乱暴に肩を押される。

「で、でも……!!」

「ホントムカつくんだよね、媚びてる女!あ、これアンタの財布~?」

青緒の鞄から控えめな色をした財布が抜き取られる。

「やめて…返して…」

「きゃはは!!1万円入ってるよwwwこうしちゃえ~!」

青緒は数人の女子に押さえられる。財布を手にした女子は中身全てをひっくり返し、傍に置かれていた小さな社の前の賽銭箱に入れる。

「あっ……!!」

「いい事したじゃ~~ん!!青緒ちゃんは優等生ちゃんだもんね~~」

静かに青緒が膝を付く。

「ひどい…家族にお土産買ってあげたかったのに…」

「あっはは!!悔しかったら大好きな①でも呼んでみたら~~?」

「うぅ……う……」

 

 彼女たちの前に現れるのに、キミは1秒とかからない。さぁこの場面、キミはどうする?

 

-解説1-

 日常が早々に陰りを見せ始めるシーンだ。この状況を読み上げる前に①と青緒の関係を再確認するような描写を挟んでもいいだろう。

 いじめの描写はPLの反応を見つつ調整していこう。しかし賽銭箱に1万円を突っ込むのは確定イベントだ。

 

-状況2-

 その場にキミが割って入ると、女子生徒はいくらかたじろぎ青緒から離れながらも悪態をつくことはやめない。

 

「うっわ……、面倒くさ。勘違いヒーローちゃんが来ちゃったよ」

「ちょっと活躍してるからっていい気にならないでくれる?そういうの見ててイライラするんだよね」

「自己満のヒーローごっこ見せられてもさむいだけっつーか」

 

 いくらかやり取りをした後、キミの傍にいた青緒が我慢ならないといった様子でこう声を荒げる。

 

「や、やめろ!!それ以上言うな……あなた達なんか、大嫌いだ!!死、死んじゃえばいいのに!!」

 

 青緒はすぐに自分が吐いた言葉に気が付き、口を押え呆然としている。それを受けたいじめっ子グループは少し気おされながらもニタニタしながら①にこう言う。

 

「へぇ?聞いた①?こいつ死ねとか言ったよ?悪い奴じゃん!!お得意の正義面でやっつけちゃってよヒーローちゃ~ん!私たち怖~~い」

 

 青緒は顔面蒼白でキミの方を見ると、急に背を向けこの場から逃げるように立ち去る。それを見ればいじめっ子グループたちも満足したかのようにこの場から立ち去っていくことだろう。既に青緒の姿は見えない。何か嫌な予感がする。キミは青緒を追う為に、京の街へと駆け出していく。

 

-解説2-

 逃げ出した青緒は、すぐ近くで状況を眺めていた憑キ蜘蛛からこっくりさんの話を耳にする。弱った心と鈍った判断力のまま彼女はその話を鵜呑みにしてしまう。

 

えんどちぇっく!

□青緒との関係を確認した

□青緒がイジメにあっている様子を目撃した

 

●いべんと2[自販機に1万円は無理]

登場PC:② 場所:京都

-状況1-

 キミはG6から1つの任務を命じられ京都の街にまでやってきている。どうやら最近の京都では行方不明者の増加、妖怪の活発化、人体発火などの怪現象が続いており、その原因究明解決がキミに一任されたという訳だ。ほぼ丸投げと言っても過言ではない。

 しかしその発生時刻はどれも日が沈み始めてからのようで、真昼間の現在では手持無沙汰気味。観光がてらに京の町を歩いている最中だ。見事に彩られた紅葉はキミを歓迎するかのように優雅に舞い、風に吹かれて地に落ちてもなお京を鮮やかに飾り立てていることだろう。

 そんな中、風情とはかけ離れたような声がキミの耳に届く。

 

「このっ!何故だっ!何故嫌がるっ!はよぅしゅわしゅわと弾ける黒い液体を飲ませてくれ!」

 

 そちらを向けば、自販機の前で1万円札を投入しては吐き出され投入しては吐き出されを延々と繰り返す少年が居た。

……さて、どうしたものか?

 

-解説1-

 余韻フェイズで明かされることだが、この少年はお稲荷様の使いだ。先ほど青緒の1万円が賽銭箱に投じられたことをきっかけに大母結界を跳ねのけ現世に顕現した。いわばハービンジャーである。

 しかし、いくら神なる存在と言えど自販機は1万円を拒否するという事実は知らないようで、今まさにこんな無様な有様を露呈してしまっている。

 

-状況2-

 打開策を教えてもらった少年は感謝を告げる。

 

「いやぁ助かった!どうしてもこの黒いしゅわしゅわを飲みたくてな!礼を言うぞ!お前、名前は何という?嗚呼、すまんすまん!人に名を尋ねる場合は自分から、ワシの名前は蜜柑という!」

「そしてお前の名は?……ふむ、素敵な響きの名前じゃな!」

 

 蜜柑と名乗った彼は、キミに1つの頼みごとを申し出てくる。

 

「そうじゃ!せっかくじゃから、京の案内をお願いできんか!イマイチ仕組みの分からん店も多くて困っててのぉ!この四角い箱に入っとるヤツも、もう少し愛想よくしたらええのに!」

 

 そう言いながら蜜柑は自動販売機にケンケンと文句を言っている。

 

-解説2-

 蜜柑が京都観光を願い出る場面だ。断ったとしても飄々と勝手に後ろを付いてくることだろう。オキツネ様は現世に興味津々なのだ。

 

えんどちぇっく!

□蜜柑と名乗る少年と知り合った

□自販機に1万円は無理ということを教えてあげた

 

 

~展開ふぇいず~

 

●いべんと3[祭りと祟り] くえりー

登場PC:②(①) 場所:京都(落ち葉が積もる十字路)

-状況1-

 蜜柑はちょろちょろとキミの周りを付いて回る。ありとあらゆる物が珍しいようで、ひっきりなしにキミの服の袖は引っ張られることだろう。

 

「む、この薄い菓子はなんだ!?中に何を詰めている、白い……餡か?こっちは随分と喧しいな!?多くの人間が光る箱に向かい合っておる!何をしておるのじゃ!?」

 

 楽しそうなのは何よりだが、こうしていてはキリが無い。ある程度で切り上げつつ歩みを進める必要があるだろう。

 そんなこんなで蜜柑に気を取られていたせいだろうか。1つの十字路に差し掛かった辺りで、キミは角から飛び出してきた女性とぶつかってしまう。かなり強い勢いでぶつかったせいか、尻もちぐらいはついてしまうかもしれない。ぶつかった女性は制服を着ていることから学生であるということは伺える。半ばパニックといった様子でキミを見る彼女は謝罪を口にするよりも先にその場から立ち去ってしまう。慌てて駆け寄る蜜柑はカンカンだ。

 

「な、なんじゃあいつは!?礼儀の欠片も見受けられん!!平気か!?」

 

-解説1-

 イベント1と時系列的に繋がっている流れとなる。ぶつかった女性はお察しの通り青緒である。こっくりさんを実行するために、彼女は誰も居ない場所を探し回っているのだ。

 

-状況2-

 キミが起き上がれば、せっせと蜜柑が埃を落としてくれる。依然ご立腹の様子だ。そんな中、キミたちの前に青緒を捜しにやってきた①が現れる。先ほどの女性を探しているらしき事を知った蜜柑は②を制し①にこう告げる。

 

「その女じゃったら、さっき見た。あっちの方向に走っていったのじゃ」

 

 蜜柑が指さすその先は、まったく逆の方向だ。①はすぐにそちらへ駆けていくかもしれないし、その前に②が声をかけて①を制するかもしれない。どちらにせよ、蜜柑は驚いた顔でキミの方を見やる。

 

「あの女はお主に無礼を働いた!察するにこやつはその女の連れのようではないか!ならばなぜ親切をしてやる義理があるのじゃ!?」

 

 蜜柑からはキミに対する純粋な善意が感じられる。不思議そうに尋ねる彼に、キミはどう答えたものか。

 

-解説2-

 ②が持つヒーローとしての善意は何なのか、それを聞きたいクエリーだ。答えを出せば蜜柑は少し難しそうに唸りながらも頷き、①へ謝罪することだろう。

 もし仮に①が蜜柑の言葉のまま真逆の方向へ走っていったとしても、②が蜜柑と話し合いケリがついた辺りでぐるっと一周回ってくる形で再び合流する運びとなる。このイベントと次のイベントの間にPC同士での情報共有や自己紹介、軽い会話などを行なうのもいいだろう。

 嗜められた蜜柑は、①に対して謝罪を行うかもしれない。

 

えんどちぇっく!

□青緒とぶつかり、①と出会った

□蜜柑の素朴な疑問に答えた

□グリットを1点得た

 

●いべんと4[疾走失踪京の町] ちゃれんじ

登場PC:①② 場所:京都(夕暮れ)

-状況-

 徐々に日が傾いてきたころ、繁華街の方から悲鳴が聞こえた。現場に駆け付ければ、ふわりふわりと宙を泳ぐようにのたうつ火の塊が街の至る所で暴れている様を目撃する。大きく尾を引くそれは、どことなく狐が野を跳ねているようにも見える。何はともあれ、救助活動だ!!

 

-解説-

 キツネツキが行動を始める時間帯に差し掛かった。街でもさっそく1匹が暴れ始めているようだ。このチャレンジ判定では同一のPCが判定を行なう必要は無い。失敗した場合のデメリットは判定の下に記載している。

 

□ちゃれんじ判定

判定1:霊能+20%、白兵-20%、射撃-20%のいずれか。

…街で暴れている狐火を倒す。

・ヒーローの手によって倒された狐火はくすぶるように黒煙を巻き上げたのち秋風に吹かれて消えていく。するとどうやらその炎に包まれていたのか、20代ほどの女性が気を失った状態で現れる。行方不明のリストにもあった女性のようだ。

 蜜柑は怪訝そうにその女性を覗き込む。

「どうやら下級の動物霊が憑りついておったようじゃの。あいつは……狐か?いや、狗にも狸にも……ふぅむ?」

「さて、急いだほうが良さそうじゃな。こやつが何かしらの呪いにかかっていたのは間違いない。原因さえ分かればといったところか!!」

 

判定2:知覚、科学のいずれか。

…今回の騒動の原因を究明する。

・周囲の状況や女性に起きた異変を統合しキミは1つの答えを導き出す。この女性はこっくりさんを行なったのだ。それも、何から何まで間違った方法で。結果的にキツネツキとなった人々はあてどなく夜な夜な京の街を彷徨うようになったようだ。では、その間違った方法を広めたのは……?

 そこでG6からヒーローへ連絡が入る。

「すみません!た、大量の熱源反応が確認されました!それらは全て、伏見稲荷に集まるようにして移動をしているようです!!」

 ヒーローとしての勘が胸騒ぎを起こす。何かが始まろうとしているようだ。

 

判定に失敗した場合:下級の動物霊に憑かれ、決戦フェイズ開始時に[不調]と[朦朧]を受けた状態で戦闘開始となる。

 

●いべんと5[人を呪わば] くえりー

登場PC:①(②) 場所:伏見稲荷

-状況1-

 キミたちは伏見稲荷へと向かう。気が付けば日も大きく傾き始め、徐々に赤らんだ空は紅葉の赤を一層深くする。

 伏見稲荷大社の境内へ入った途端、ずしりと重い空気がキミたちにまとわりつく。周囲には人っ子一人見受けられない。何かが起きようとしているのは確かなようだ。

 

 葉が擦れる音と自分の足音だけが耳に届く。連なる鳥居をくぐりにくぐり、上へ上へと歩みを進めるキミたち。

 そんな中、穏やかながらよく通る声が後ろから響いた。

 

「あら、ひーろーはん。そんなに急いでどこ行かはるんやろ」

「どないしはったん、怖い顔して。うちはお散歩しとっただけやないの。それともなんや?妖怪は道すら歩くな言わはるんやろか?」

「あらもうバレてしもうてるん?しゃあないなぁ……。でもそんな悪い事しようとなんてしてへんねんよ?」

「うちの力も年々衰えてきててなぁ。今となっては変化で取れる姿の数も数えれるぐらいになってきてもうたんよ。」

「せやからうち、キツネになりたい思てね。妖狐……っていうんやろうか。」

「どうしたらええかな思たんやけど、1つ閃いてん。こっくりさんを流行らせればええんとちゃうかって」

「間違うたこっくりさんして、キツネツキになってしまわはった子らを食らったら、オキツネ様の力が得られるんとちゃうかって思って」

「せやから、な?あの女の子ら食べたらさっさとどっか行くさかい、ね?見逃してくれへん?」

 

 …などと言っているが、さぁどうする?

 

解説1

 憑キ蜘蛛が今回の目的を説明する場面だ。ヒーロー達に現状を理解してもらえればOKだ。質問にも憑キ蜘蛛はほぼ偽りなく答えてくれるだろう。ヒーロー達が反抗の意志が見られた時点で次の状況2へ移る。

 

状況2

 憑キ蜘蛛はキミたちの様子を見れば、口元を隠しながらため息を1つ。

 

「ホンマ怖いわぁ…。嫌や嫌や。でもそこまで言わはるんなら仕方ないわ、探してはる子はこっちに居るさかい」

「そっちの子、見たところ学生はんみたいやけど。あの子のお友達なん?」

「こんなん言うのもなんやけど、あの子を助けて何にならはるん?」

「誰かを呪おうとするような人にロクな人はおりまへんやろ」

 

 憑キ蜘蛛がこちらの戦意を削ごうとしてきているのは明らかだ。キミが答えを返せば、「さよか」と短く告げたのち、隠されていた口元が露わになる。ゆっくりと弧を描く口は、確かな笑みをたたえていた。

 

-解説2-

 この場の時間稼ぎも含めた憑キ蜘蛛からの問いである。①がどのような決意で青緒を助けようとしているのかを見たいクエリーだ。

 

えんどちぇっく!

□憑キ蜘蛛からの疑問に答えた

□グリットを1点得た

 

●いべんと6[穴1つ] ちゃれんじ

登場:①② 場所:伏見稲荷

-状況-

 笑顔の憑キ蜘蛛は続ける。

 

「でもホンマにごめんやで?うちも、ここまで来たら諦めたくないねんよ」

 

 そう言った憑き蜘蛛は背中から生やした巨大な腕を地面に叩きつける。地が揺れ紅葉が大きく舞い散ると共にキミたちの足元の地面がボコリと崩れ、そのまま崩落を起こしたかと思えば下へ下へと落下していく。大きな穴の底には蜘蛛の糸が張り巡らされていたようで、キミたちの身体はそれに絡めとられるようにして着地する。

 

「ええ子やから、終わるまでそこでじっとしててね。腹空かせた子らがうろちょろしてるみたいやから、バレたら食われて燃やされてまうかもしれへんよ?」

 

 そのまま憑き蜘蛛の気配は遠くへ消えていく。何とかしてこの場を切り抜けなければ、自身の命すら危ういだろう。蜜柑は目を回している。

 

-解説-

 憑キ蜘蛛の罠から脱出するためのチャレンジイベントだ。この判定は同一のPCが行なう事は出来ない。失敗した場合の処理は以下に記載する。

 

□ちゃれんじ判定

判定1:運動、作戦のいずれか

…憑キ蜘蛛の罠から抜け出せ!

・力づく、もしくは何かしらの策を巡らせてキミたちはこの穴から抜け出すことが出来る。這い出た周囲には、数えきれないほどの狐火がキミたちを囲むようにして飛び回っている。

 

判定2:霊能、白兵-10%、射撃-10%のいずれか

…狐火の包囲網を抜けろ!

・成功すれば、まるで火の壁のようになっていたそれらの一部分に僅かな隙間を作ることが出来る。切り抜けることが出来たのであれば、あとは憑キ蜘蛛を追うだけだ!

 

判定に失敗した場合:青緒の一部が憑キ蜘蛛に食われてしまい、キツネの力を得た憑き蜘蛛が強化された状態で決戦フェイズが開始する。

 

 

~決戦ふぇいず~

 

●いべんと7[秋の京都を彩るは] ばとる

登場PC:①② 場所:伏見稲荷

状況

 伏見稲荷本殿までやってきたキミたちは、石畳の上で今まさにこっくりさんを行なっている青緒を発見する。彼女のすぐ傍では憑キ蜘蛛がにこやかにそれを見守っている。舞い散る紅葉と飛び交う狐火に包まれる2人は、ともすれば幻想的に見えるかもしれない。

 

「こ、こっくりさん、こっくりさん……!懸命に頑張るあの人を馬鹿にした、あいつらを、あいつらを、どうか呪ってください!!」

「よぉくできはりました♪」

 

 憑キ蜘蛛はキミたちの存在に気が付くとゆっくりと顔を上げ、困ったような顔を向ける。

 

「やっぱり来てしまわはったん?」

「ええよ、ここまで来てくれたんなら、お相手するわ。でもうち一人やったら多分勝てへんから」

「こっくりさんこっくりさん、いらっしゃいましたら、うちの傍に来てください」

 

 青緒の身体が痙攣を起こし始める。そのまま前につんのめるようにして地面に倒れた彼女は、まるで見えない糸で操られているかのように起き上がると、ゆっくりゆっくり憑き蜘蛛の傍に寄ってくる。

 周りを飛んでいた狐火が、石畳にぶつかるたびに「こーんこーん」と音を鳴らす。それに呼応するかのように、青緒が大きく鳴く。「こぉーーんこぉーーん」

 

 楽しそうにからからと笑う憑キ蜘蛛は言う。「オキツネこんこん恨めしや、うちが集めた珠玉の呪い、たぁんと味わっておくれやす?」

 

 さぁ、決戦の時間だ。

 

-えねみぃでーた-

●憑き蜘蛛

データは基本ルルブ(p209)に準拠する。

チャレンジ2に失敗していた場合、各エナジーに+30の補正が入り、下記の追加パワーを得る。

・パワー

【妖狐の力】

属性:攻撃 判定:-

タイミング:行動 射程:3

目標:2体 代償:ターン2

効果:目標は〈意志〉-30%の判定を行なう。

失敗した場合1D6点のダメージ及びショックを受ける。

このパワーは1ラウンドに1回まで使用できる。

-----------------------------------------------

…真っ赤な狐火が紅葉と共に舞う。

 

●狐火(人魂)

データは基本ルルブ(p219)に準拠する。

 

●青緒

・能力値

【肉体】30 運動:40%

【精神】40 霊能:50% 心理:50%

【環境】25

 

・エナジー

【ライフ】30

【サニティ】40

【クレジット】45

 

・移動適正:地上、飛行

 

・パワー

【つむじ風】

属性:攻撃 判定:-

タイミング:行動 射程:3

目標:1体 代償:ターン8

効果:目標は〈運動〉の判定を行なう。

失敗した場合1D6+1点のダメージを受ける。

-----------------------------------------------

…身体を切り裂く鋭い風。

 

【後ろの正面】

属性:妨害 判定:霊能50

タイミング:特殊 射程:3

目標:1体 代償:サニティ4

効果:目標が[属性:攻撃]のパワーに成功した直後に使用できる。

パワーの目標が[目標:1体]ではない場合[目標:1体]に変更し、その目標を射程内からランダムで決定させる。

このパワーは1ラウンドに一回まで使用できる。

-----------------------------------------------

…力任せに空間を捻じ曲げる。前が後ろで後ろが前で。

そしたら正面だあれ?

 

【こっくりさん】

属性:攻撃 判定:-

タイミング:行動 射程:3

目標:2体 代償:ターン20

効果:目標は〈心理〉もしくは〈交渉〉の判定を行なう。

失敗した目標1体につき狐火が1体追加される。

狐火の配置はエリア1となり、ターンカウンタは行動済みに配置される。

-----------------------------------------------

…こっくりさん、こっくりさん、おられましたら__

 

 

~余韻ふぇいず~

 

 ヒーローたちの行動に合わせて思い思いの余韻フェイズを行なってもらいたい。

 以下は蜜柑に正しき心を持って接してきた場合の一例だ。

 

”憑キ蜘蛛と青緒を無力化すれば周囲に満ちていた重苦しい空気もフッと軽くなる。憑キ蜘蛛は悔しそうにしながらも、ひとまずは大人しくヒーロー達の手にかかることだろう。

 その時だ。最後の力を振り絞った憑キ蜘蛛の巨大な腕がキミたちヒーローのどちらかの首に伸ばされる。

「ホンマにホンマに恨めしい。あんた一人だけでも、殺したる」

 呪いの言葉。満身創痍、反応がわずかに遅れ、キミは勢いよく地面に叩きつけられる。バキバキバキ……と、肩周辺の骨が潰れていく音が聞こえる。

 ここで傍にいた蜜柑が急に走り出したかと思えばボフッと煙に包まれる。その次の瞬間には巨大な白い狐が大きな牙を憑キ蜘蛛の腕に突き立てているかと思えば、そのまま憑キ蜘蛛を力任せに放り投げる。

「狐の力、舐めるでないわ!!お主が働いた悪行、永劫反省するとよい!!」

 

 にっこりと笑う一匹の狐。その声は紛れもなく蜜柑だ。

「ワシは稲荷様の使いの狐!!妙な結界の所為で数十年動けずだったのじゃが、ちょいと前にワシの賽銭箱に供物が投げ入れられての!!その拍子にこちらに来れたという訳よ!!」

「今回の件、大義であった!!久方ぶりとなる稲荷様への報告も、吉報となりそうじゃ!!人々は希望を持って日々を生き続けているとな!!」

「さて、どうやら稲荷様も機嫌が良い。何か1つぐらいなら願いを聞いてやろうじゃないか!!」

 

 蜜柑の大声により、意識を失っていた青緒も目を覚ます。

「あれ……?ここ、どこ……?私、確かこっくりさん……」

「もしかしなくても、迷惑、かけちゃったみたい……だね?ご、ごめんね……」

 

 周囲をキョロキョロする青緒は真後ろに控えていた蜜柑を発見する。目を合わせた蜜柑はにっこりと笑う。それを見た青緒は、わずかに焦った声でこう言うのだ。

 

「え!?まさか、こ、こっくりさん!?えと、えと、お帰りください!!も、もう私は、大丈夫ですから!!ばいばい、こっくりさん!!」”

 

 

しなりお『ばいばいこっくりさん』これにて終幕!